眠ろうとしているのに、目が冴える。
いろんなことが頭をぐるぐるして、寝つけない。
そんな夜を、あなたは何度経験したことがありますか?
忙しさやストレス、生活リズムの乱れ──
原因は人それぞれだけど、「眠れない夜」はそれだけで心と体をじわじわ蝕んでいきます。
そんなときこそ、頼ってほしいのがハーブティー。
薬のような強さはないけれど、植物が本来持つ“やさしい力”で、少しずつ心と体を整えてくれる飲み物です。
この記事では、眠れない夜におすすめのハーブティーとその選び方をわかりやすく解説。
「どれを選べばいいの?」「本当に効くの?」という疑問にもお応えしながら、無理なく眠りの質を上げるためのヒントをお届けします。
今夜からできる、ちいさなリセット習慣。まずは自分に合った一杯を見つけてみませんか?
なぜ眠れない夜にハーブティーが効くのか?

眠れない夜、心がざわついて落ち着かないとき、多くの人が「温かい飲み物がほしい」と自然に感じます。
実はこの感覚、体が“眠りやすい状態”を求めているサインなんです。
では、なぜハーブティーが眠りをサポートしてくれるのか?
理由は大きく3つあります。
自律神経を整える「香りの作用」
ハーブティーに含まれる香り成分(精油=エッセンシャルオイル)は、嗅覚から脳へダイレクトに伝わり、自律神経のバランスに働きかけます。
たとえば、カモミールやラベンダーの香りには、興奮モードの交感神経を鎮め、リラックスモードの副交感神経を優位にする効果があるとされています。
これはアロマテラピーと同じ原理で、医学的にも不安感の軽減や入眠サポート効果が報告されています。
温かい飲み物が副交感神経を刺激する
人は温かい飲み物をゆっくり飲むと、体の深部体温が一時的に上昇し、その後自然に下がっていくときに、眠気が促進されやすくなると言われています。
また、温度刺激そのものが副交感神経に働きかけ、呼吸や心拍をゆるやかに整えてくれるため、体が「休息モード」に入りやすくなるんです。
飲むという行為がマインドフルネスになる
ストレスで眠れないとき、私たちは過去や未来に意識が向きがち。
でも、ハーブティーの香りを感じながら、口に含み、温かさを味わう──
この一連の動作は、「今この瞬間」に意識を向けるマインドフルな行動になります。
この“意識の切り替え”こそが、不安や焦りを和らげる第一歩です。
つまりハーブティーは、香り・温度・味・行動のすべてで、脳と体に「そろそろ休もう」と伝えてくれる存在。
薬に頼らず自然に眠りたい人にとって、これ以上ない味方といえます。
睡眠サポートにおすすめのハーブティー5種
① カモミール

王道の“眠りのハーブ”。初心者にもおすすめ。
- 成分:アピゲニン(鎮静・抗不安作用)、マトリシン
- 効果:心を落ち着けて入眠を促進。軽い胃の不調にも◎
- 味わい:ほのかに甘く、リンゴのような香りで飲みやすい
- 注意点:キク科アレルギーの人は注意
▶ 就寝30分前に飲むと、自然な眠気が訪れやすくなる。
② ラベンダー

ストレス・不安・緊張をやわらげる定番アロマハーブ。
- 成分:リナロール、酢酸リナリル(鎮静・抗不安)
- 効果:精神的な高ぶりを抑え、自律神経を整える
- 味わい:少しクセがあるが、香りは非常にリラックス効果が高い
- 注意点:単体で苦手な人はブレンドティーがおすすめ
▶ 不安やイライラが原因で眠れない夜に◎。
③ レモンバーム(メリッサ)

気分の落ち込み・緊張感にアプローチ。ヨーロッパでは医薬扱いのことも。
- 成分:シトラール、ロズマリン酸(抗ストレス・神経安定)
- 効果:脳の興奮を鎮め、不安感や軽いうつ状態を和らげる
- 味わい:さっぱり爽やかなレモン風味で飲みやすい
- 注意点:妊娠中は長期連用を避ける
▶ 眠れない+気分が落ちているときに特に有効。
④ パッションフラワー(トケイソウ)

神経の過敏・考えごとで眠れない人におすすめ。
- 成分:フラボノイド、アルカロイド(中枢神経抑制)
- 効果:不安感・過緊張・動悸など“神経性の不眠”に作用
- 味わい:クセが少なく、単体でもブレンドでもOK
- 注意点:妊娠中は避ける/長期連用は医師に相談
▶ “考えすぎて眠れないタイプ”にはピッタリ。
⑤ バレリアン(セイヨウカノコソウ)

“植物の精神安定剤”と呼ばれる強めのハーブ。即効性あり。
- 成分:バレポトリエート、バレレン酸(鎮静・筋弛緩)
- 効果:緊張・不眠・イライラ・神経疲労に対して強く働く
- 味わい:独特の土っぽい匂いがあるため好みが分かれる
- 注意点:車の運転前は避ける/長期使用は医師と相談
▶ 即効性を求めたい人向け。ただしクセが強いので注意。
失敗しないハーブティーの選び方3つのポイント

ハーブティーは「自然に眠れる手軽な方法」として人気ですが、種類が多すぎて「どれを選べばいいのか分からない」と悩む人も多いはず。
ここでは、自分に合った一杯に出会うための選び方のコツを3つに絞って紹介します。
目的別で選ぶ(眠れない理由に合ったハーブを)
眠れない原因は人によって異なります。
ただ「リラックスしたい」ではなく、どんな悩みで眠れないのかを明確にすることが大切です。
- 不安・緊張が強い → ラベンダー・パッションフラワー
- 気分の落ち込み → レモンバーム
- 単純に眠気が来ない → カモミール
- 神経の高ぶりが強い・即効性がほしい → バレリアン
自分の「眠れなさの正体」に気づくと、ハーブの選び方もぐっと楽になります。
ノンカフェインであることを確認する
睡眠を目的にするなら、ノンカフェインは必須条件。
緑茶や紅茶ベースのブレンドティーにはカフェインが入っていることもあるので、表示を必ずチェックしましょう。
また「リフレッシュ用」や「美容用」のハーブティーの中には、夜には向かない刺激性のあるハーブが含まれていることもあります。
「ノンカフェイン」または「カフェインゼロ」の表記があるものを選ぶのが安全。
続けやすい味・香りを選ぶ
どれだけ効果があっても、味や香りが苦手だと続かないのがハーブティー。
特にラベンダーやバレリアンはクセが強めなので、初めてならブレンドタイプや香りがやさしいカモミールなどがおすすめ。
また、「あたためるのが面倒」「抽出時間が長い」と感じる人は、ティーバッグタイプを選ぶと手軽に続けられます。
続けることで体質や睡眠リズムは整っていくので、おいしいと感じられる一杯を見つけることも大事な選び方のひとつです。
寝る前に取り入れるおすすめの飲み方

せっかくハーブティーを取り入れるなら、「飲むタイミング」や「飲み方」にひと工夫を加えるだけで、その癒し効果は何倍にもなります。
ここでは、より深い眠りにつながる飲み方のコツを紹介します。
飲むタイミングは「就寝30分〜1時間前」

ハーブティーは即効性があるわけではないため、寝る直前よりも眠る準備を始める時間に合わせて飲むのがおすすめ。
副交感神経がゆっくり優位になるまでには少し時間がかかるため、就寝の30〜60分前に飲み始めるのがベストとされています。
温かい状態で、ゆっくり飲む
温かい飲み物には深部体温を一時的に上げたあと、ゆるやかに下がることで眠気を引き出す働きがあります。
冷たい飲み物は交感神経を刺激してしまうため避けましょう。
また、香りを感じながら「ゆっくり、深く呼吸しながら飲む」ことで、マインドフルネス効果が高まり、心が落ち着きやすくなります。
就寝前の「リセット習慣」とセットにする
ハーブティーをただ飲むだけでなく、たとえば以下のような行動と組み合わせると、より眠るモードが整います。
- スマホを手放して、照明を落とす
- アロマや静かな音楽を取り入れる
- 一言日記を書いてから飲む
こうしたルーティンを毎晩の“合図”にすることで、脳が「もう寝る時間」と覚えやすくなり、入眠までがスムーズに。
甘みがほしいときは「はちみつ」を少量だけ

どうしても甘みがほしい場合は、白砂糖よりも血糖変動のゆるやかな“はちみつ”を少量だけ加えるのが◎。
甘さは脳の報酬系にも作用し、安心感につながります。
ただし、摂りすぎると逆に目が冴えるので、ほんの少しが基本です。
まとめ|眠れない夜は、自然の力に頼ってみよう
眠れない夜は、誰にでもある。
考えすぎて眠れない日もあれば、理由もわからずただ心が落ち着かない夜もある。
でも、そんな夜にこそ自然のやさしさに身をゆだねてみることが大切です。
ハーブティーは、無理に眠らせようとするものではありません。
香りや温かさ、飲むという行為そのものが、心と体をやわらかくほぐしてくれる存在です。
「薬に頼るほどじゃないけど、何か始めたい」
そう思ったときが、あなたの睡眠を見直すチャンス。
完璧じゃなくていい。
まずは、今夜の一杯から。
眠れない夜は、自然の力に頼っていい夜です。