夜、疲れているのに眠れない。
仕事のストレスも、人間関係のモヤモヤも、ぜんぶ持ち越したままベッドに入っていませんか?
もしかすると、その不調――
「光」のせいかもしれません。
実は、私たちの自律神経は部屋の明かりによって大きく左右されています。
明るすぎる照明、白すぎる光は、脳を“昼モード”に保ち続け、心と体がオフにならないまま、毎日を消耗させているのです。
そこで注目したいのが、間接照明というリセット習慣。
やさしい光に切り替えるだけで、呼吸が落ち着き、イライラが減り、眠りの質まで変わることが科学的にも分かってきています。
この記事では、なぜ光が自律神経に影響するのかをわかりやすく解説し、どんな光を選べば、疲れたあなたを整えられるのかを丁寧に紹介します。
今日からできる光のリセット、一緒に始めてみませんか?
なぜ光が自律神経に影響するのか?|蛍光灯が交感神経を刺激するワケ

私たちの体には、意識しなくても呼吸・心拍・体温などを調整する「自律神経」が備わっています。
これは活動モードの交感神経と、リラックスモードの“副交感神経の2つのバランスで成り立っています。
そしてこの自律神経は、「光の強さと色」にとても敏感です。
蛍光灯が交感神経を優位にする理由
蛍光灯や白色LEDに多く含まれる青白い光(ブルーライト)は、日中の太陽光に似た波長を持っていて、脳を「今は昼間だ」と錯覚させます。
この結果、交感神経が刺激され、心拍が上がり、脳が覚醒状態に。
本来なら夜にリラックスすべき時間帯でも、蛍光灯の下では、オンモードのまま過ごしてしまっているのです。
メラトニンの分泌も妨げる
さらに問題なのが、眠気を誘うホルモン「メラトニン」の分泌。
これは暗くなると自然に増えてくるはずですが、強い光やブルーライトを浴びると分泌が抑制されてしまうことがわかっています。
つまり、蛍光灯のような明るく白い光を浴び続けると、「寝たいのに眠れない」「眠っても疲れが取れない」といった状態になりやすいのです。
自律神経は光に支配されている
夜にまぶしい光を避けることは、ただの雰囲気作りではなく、体を「休息モード」に戻すための大切な切り替えスイッチ。
光を味方につけることが、自律神経を整える第一歩です。
やさしい光で副交感神経をオンにする|間接照明の効果とは?

自律神経には「活動モード」の交感神経と、「休息モード」の副交感神経があります。
日中は交感神経が優位になり、夜は副交感神経が優位になることで、体と心は回復します。
しかし、強い白色照明の下では、この切り替えがうまく働きません。
間接照明が“副交感神経”を優位にする理由
1. 目に入る光の量が少ない
間接照明は、天井や壁に光を反射させるため、光がやわらかく拡散されます。
これにより、網膜が受ける刺激が少なくなり、脳への覚醒信号も弱まります。
脳が「リラックスしていい」と判断し、副交感神経が優位になります。
2. 色温度が低い(暖色系)
暖色系の間接照明(電球色・約2700K〜3000K)は、夕焼けやキャンドルに近い光です。
このような光は、自然界で日が暮れたサインとして体に刷り込まれているため、体が「休む準備」に入りやすい構造になっています。
3. 心理的な安心感
直接光を浴びる照明と違って、間接照明には“包まれるような感覚”があります。
実際、間接照明の空間にいると、脳波がリラックス状態(α波)になりやすいという研究もあります。
間接照明は光のマッサージ
目にも脳にも刺激が少ないやさしい光は、まるで副交感神経にマッサージをかけるような働きをしてくれます。
夜の時間に、スマホや天井の蛍光灯ではなく、「やさしい光で空間を照らす」という小さな習慣が、心と体の回復力を大きく左右するのです。
間接照明の選び方|自律神経を整える5つのポイント

副交感神経を優位にし、心身をやさしくオフに導くためには、どんな間接照明でもいいわけではありません。
以下の5つのポイントを押さえることで、自律神経にやさしい照明環境を整えることができます。
① 電球色(2700K〜3000K)を選ぶ
色温度が高い(5000K以上)の白色光は、交感神経を刺激してしまう原因になります。
逆に、暖かみのある電球色(2700〜3000K)は、夕暮れやキャンドルに近く、副交感神経を優位にするとされています。
パッケージに「電球色」または「Warm White」と書かれているかを確認。
② 光源が見えない構造を選ぶ
光が直接目に入る構造は、網膜への刺激が強くなり、脳が覚醒しやすくなります。
光を壁や天井に反射させるタイプ、またはシェードで光源が隠れている照明がベストです。
キーワードは「拡散光」「間接的な照らし方」。
③ 明るさは控えめでOK(200〜400ルーメン目安)
夜の間接照明は、部屋全体を明るくする必要はありません。
目が慣れる程度のやさしい光が、副交感神経のスイッチになります。
数値で言えば200〜400ルーメン程度が◎(寝室用スタンドの目安)
④ 調光・調色ができると整えやすい
明るさや色温度をシーンごとに調整できると、「読書 → リラックス → 就寝」といった流れに合わせた照明設計ができます。
リモコン・アプリ操作・タッチ式のものがおすすめ。
スマート照明(例:Philips Hueなど)なら習慣化にも便利。
⑤ “心が落ち着く”デザインを選ぶ
自律神経は視覚情報にも影響を受けます。
トゲトゲしいデザインや冷たい印象の素材より、木・和紙・布など“ぬくもり”を感じる素材やフォルムの照明が理想的です。
自分に合った光を見つけるために|今日からできること

照明を変えると聞くと、「どれを選べばいいのか分からない」「お金がかかりそう」と感じるかもしれません。
でも実は、自分に合った整える光を見つけるために、特別な準備はいりません。
小さな工夫だけで、自律神経はゆるやかに反応をはじめます。
まずは寝る1時間前に蛍光灯を消す
白く明るい天井照明は、交感神経を刺激し続ける最大の要因。
夜はできるだけ早い時間に間接照明やスタンドライトだけで過ごすようにするだけで、副交感神経のスイッチが入りやすくなります。
手持ちの電球を「電球色」に変えてみる
特別な照明器具がなくても、電球だけなら数百円から購入できます。
青白い昼白色ではなく、あたたかみのある電球色(2700K程度)を選ぶだけでも、寝つきや気持ちの安定に変化が出る可能性があります。
明るさを「足す」より「引く」
部屋全体を明るくする必要はありません。
むしろ、少し暗いと感じる程度が、体にとっては自然な夜の光量です。
リラックス用の間接照明は1つでOK。
読書や作業には、手元だけをやさしく照らす明かりを。
スマホの光も“間接照明化”する
スマホは強烈なブルーライトの塊。
iPhoneなら「Night Shift」、Androidなら「Night Light」などを活用し、色温度を暖色寄りに設定するだけでも、脳への刺激が和らぎます。
落ち着ける光を自分で記録してみる
人によって、心が休まる色や明るさは少しずつ違います。
間接照明を試してみたら、「今日はよく眠れた」「落ち着いた」など、体や心の変化を軽く記録してみると、自分にとってベストな“光のリズム”が見えてきます。
まとめ|光を変えるだけで、自律神経もそっと整う
疲れがとれない、眠れない、いつも気持ちがざわつく――
そんな状態の裏には、光の刺激が関係していることがあります。
私たちの自律神経は、想像以上に光の影響を受けています。
昼のように明るい蛍光灯の下では、脳も体も「まだ休むな」と指令を出し続けてしまう。
それでは、どれだけ栄養や睡眠に気をつけても、リセットされにくいのは当然です。
でも逆にいえば、「光を変えるだけで、体はちゃんと休める」ということでもあります。
間接照明のやさしい光は、目にも脳にもやさしく、少しずつ、でも確実に副交感神経を優位にしてくれる自然なスイッチです。
特別な知識や高価な道具は必要ありません。
まずは、1つのライト、1つの電球を変えることから始めてみてください。
その一歩が、毎日の“疲れの質”を変え、あなた自身を少しずつ整えてくれるはずです。